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2017年2月 9日

宮田まゆみが語るハインツ・ホリガー

笙を国際的に広めた第一人者・宮田まゆみ

 
古典雅楽をはじめ現代作品の初演も数多く手がけ国際的に活躍する宮田まゆみは、「ハインツ・ホリガー オーボエ・トリオ」公演でホリガーと初共演。共演曲「ディスタンス」やソロ曲についてコメントを寄せました。笙をめぐる3人の秘話も!

 

-ホリガーとの共演について
ホリガーさんとの共演は初めてです!
1990年前後にフライブルク音楽大学でホリガーさんが自作を指揮なさった時、聴衆のひとりとしてご挨拶したことがあるだけで、今までちゃんとお話ししたこともないのです!
「ディスタンス」の1972年の初演は私が後に師事した多忠麿先生が笙を演奏しています。その時私はまだ笙を習い始めていませんでした。1978年に笙を習い始め、1983年に初めての笙リサイタルで柴山洋さんと「ディスタンス」を演奏し、武満先生も聴きにいらして下さいました。リサイタル以前にもミュージック・トゥデイなどで「ディスタンス」はすでに演奏していたように思います。その後何回も国内外で「ディスタンス」を演奏する機会があり、CDの録音もしました。日本、ヨーロッパ、北米といろいろなオーボエ奏者と共演しましたが、ホリガーさんとの共演は今回が初めてです。とても興奮しています。
ある時武満先生は、ホリガーさんからプレゼントされたという「笙」をお持ちになり、私に、「これは僕が持っていてもしょうがないからあなたが持っていて」とお預け下さいました。ホリガーさんからの「笙」!?・・。京都で注文なさったようですが、作曲を委嘱なさる時にお贈りになったのでしょうか。この大事な笙はリードがまだ調整中なので、今回この笙で演奏できるかどうかわかりませんが、ぜひホリガーさんにはご覧頂きたいと思っています。
素晴らしい演奏家、作曲家、指揮者であるホリガーさんと共演できるのは夢のようです。

 

-演奏曲について
武満徹作曲「オーボエと笙のためのディスタンス」
オーボエからはいろいろな音楽が聴こえてきます。くっきりと刻まれる線、別の世界に送るような鋭い信号音、夢のように歌う旋律、、、。その縦横無尽の動きから「距離」をもって、笙が記憶の彼方から響いてきます。笙は時には単音、時には和音と、持続音を変化させながら、ほとんど途切れることなく背景から響きます。まるで異なる次元が同時に存在しているような感じです。
細川俊夫作曲「さくら」
日本人にはお馴染みの古謡「さくら」の旋律に、笙の古典独奏曲「調子」を思わせる和音を配した雅やかな小曲です。和音の移り変わりの中から「さくら、さくら」の歌の旋律が浮かび上がります。後半では太い桜の古木から花びらが舞い散るような印象の旋律の動きが挿入されます。
雅楽古典曲「盤渉調調子」
現在六曲伝わる笙の独奏曲「調子」。平安時代にはすでに演奏されていたようです。「平調調子」、「太食調調子」、「壹越調調子」、「雙調調子」、「黄鐘調調子」、「盤渉調調子」。六曲それぞれ特徴のある曲想をもっています。雅やかな調子、力強い調子、明るく伸びやかな調子などなど。その中で「盤渉調調子」はもっとも幽玄な雰囲気を醸し出しています。和音の構造や音の運びは「日本の古典音楽」という範疇を感じさせず、時代性不明、地域性不明の音楽のように聞こえます。
「盤渉調」は古来、冬を象徴する調であると言われていますが、冬枯れの銀色の荒野から何かの兆しが芽生える、一条の光をも感じさせる調です。

 

ハインツ・ホリガー オーボエ・トリオ 6月11日(日)14:00開演
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