浜離宮朝日ホール|朝日ホール通信

1992年オープンの室内楽専用ホール。特にピアノや繊細なアンサンブルの音色を際立たせる設計でその響きは世界でも最高の評価を受けています。


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ベルカントの真髄を堪能するプログラム浜離宮ランチタイムコンサートvol.222小堀勇介テノール・リサイタル小堀勇介はベルカント作品で高く評価され、ペーザロ(イタリア)ではロッシーニの大家である故アルベルト・ゼッダに薫陶を受けた期待のテノール。浜離宮ランチタイムコンサートでは、ロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニを中心に、“今、小堀の歌で聴きたい!”と思えるプログラムが揃った。「ベルカントを存分に味わっていただきたいと思って組んだプログラムです。ベルカントを代表する3人の作曲家のなかでも、ロッシーニは古典派のもっとも発展した形態であり、ドニゼッティやベッリーニはそこからロマン派への橋渡しとなる存在であると思います。第1部ではそれぞれ2曲ずつ選んだ歌曲から、三者三様の魅力を感じていただければと。たとえば、ロッシーニの『饗宴』では軽妙洒脱な音楽に乗せて酒の神と愛の神を讃えることに終始するのに対し、ドニゼッティの『船人』では穏やかな船出から一転、嵐の場面が訪れ、激しい情景が描かれるなど、作品の中に物語性を含んでいます。これがベッリーニの『帰れ、いとしのフィッリデよ』になると、愛する女性を失った男性の心象風景が刻々と変化する様子を、転調を用いながら丁寧に描写していることが分かります」(小堀勇介、以下同)第2部はリストの「ペトラルカの3つのソネット」からスタート。歌とピアノで超絶技巧を堪能できるプログラムということで、リストを得意とする久保山菜摘のピアノにも注目したい。さらにはロッシーニの「チェネレントラ」、ベッリーニの「清教徒」、ドニゼッティの「連隊の娘」からテノールの名アリアが続く。「『清教徒』のアリア『愛するあなたへ』は正直なところ、今の僕にとってはチャレンジングな曲です。ベッリーニは、ロッシーニやドニゼッティと比べると声の扱い方が重く、よりヴェルディに近い身体の使い方になっているように思います。ベッリーニは音の持って行き方が、すごく心情にリンクしているというか。同じ“ハイC”でも、3人それぞれ使いどころや表現方法がまったく違うのが面白いですね」2012年に新国立劇場オペラ研修所でロッシーニと出会い、それまでの後期ロマン派のレパートリーをすべて捨てて、一から学び直したという小堀。それから約10年、彼の音楽はさらなる深化を遂げている。「まさに学び直しの10年でしたが、ロッシーニを学ぶ前と後では、ベルカントで必要とされる息の使い方や、楽譜の見え方までまったく変わりました。以前は絶対に登れないと思っていた高い山の頂までの道のりが、今では見えるような気がしています」2023.1/25(水)11:30¥3,000共演:久保山菜摘(ピアノ)ロッシーニ:饗宴ドニゼッティ:船人ベッリーニ:棄てられてベッリーニ:帰れ、いとしのフィッリデよドニゼッティ:漁夫ロッシーニ:踊りリスト:ペトラルカの3つのソネットロッシーニ:歌劇『チェネレントラ』より「彼女を誓って探しだす」ベッリーニ:歌劇『清教徒』より「愛するあなたへ」ドニゼッティ:歌劇『連隊の娘』より「ああ友よ、なんと素晴らしい日」3


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