浜離宮朝日ホール|朝日ホール通信

1992年オープンの室内楽専用ホール。特にピアノや繊細なアンサンブルの音色を際立たせる設計でその響きは世界でも最高の評価を受けています。


>> P.4

主催公演年間ラインナップテーマ別に注目公演をチェックピアノのヴィルトゥオーゾたち浜離宮朝日ホールという空間で、ピアノの響きに身を浸す時間は格別なもの。2023年度もピアノ・ファンの心を掴む個性あふれる名手たちが登場する。9月に日本デビューとなるリサイタルを開くエヴァ・ゲヴォルギヤンは、2021年に開催された第18回ショパン国際ピアノ・コンクールのファイナリスト。17歳とは思えない、円熟さえ感じさせる表現力と鉄壁のテクニックで世界を魅了した彼女は、これまで50以上の国際コンクールで受賞を重ねてきた。「その後」が大事だといわれるショパン・コンクールだけに、さらなる進化から目が離せない。2023年はラフマニノフ生誕150年のアニヴァーサリーということで、オール・ラフマニノフ・プログラムのリサイタルが3公演予定されている。まずは11月のコンスタンチン・シェルバコフ。1983年にモスクワで開催された第1回ラフマニノフ・コンクールの優勝者であり、名教師レフ・ナウモフの薫陶を受け、スヴャトスラフ・リヒテルも絶賛したヴィルトゥオーゾの演奏で、ロシア・ピアニズムの真髄に触れたい。同じく11月には、フランス出身で「鍵盤の魔術師」の異名を持つシプリアン・カツァリスが、「ラフマニノフへのオマージュ」と題してユニークなプログラムでリサイタルを行なう。そして12月には、2004年に開催された第3回スクリャービン国際ピアノ・コンクールの優勝者、アンドレイ・コロベイニコフが登場する。1986年生まれ、司法試験にも合格し、エスペラント語など多言語を操る知性派。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭でもたびたび来日してきたが、年齢的にもベテランの域に入る彼がどんな境地を聴かせてくれるのか楽しみだ。ほかにも、6月に菊池洋子(11P)、6月と12月に田部京子(11P)などのリサイタルが予定されている。©EvgenyEvtyukhovエヴァ・ゲヴォルギヤン©Jen-Pinコンスタンチン・シェルバコフ©IreneZandelアンドレイ・コロベイニコフピリオド楽器を親密な空間で次に、古楽ファンにとっても注目の公演をご紹介しよう。ショパン・コンクールを運営するポーランド国立フリデリク・ショパン研究所©W.Grzedzinskiトマシュ・リッテルが、2018年にショパン国際ピリオド楽器コンクールを創設して大きなニュースとなったが、その第2回目が2023年10月にワルシャワで開催される。それに先立つ6月、浜離宮朝日ホールで「ピリオド楽器のショパン」11P)という関連イベントとしてレクチャー&プレゼンテーション付きのリサイタルが予定されている。第1回の優勝者、トマシュ・リッテルによるリサイタルのほか、第2位の川口成彦による「モダンとピリオド楽器によるショパン演奏について」のレクチャーも。ショパンの音楽をより多角的に捉えるきっかけになりそうだ。なお、川口は11月の浜離宮ランチタイムコンサートにも登場し、フォルテピアノのリサイタルを行なう。4©JuanJoséMoleroRamos川口成彦


<< | < | > | >>