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エヴァ・ゲヴォルギヤン日本デビュー・リサイタルから1年――ふたたび浜離宮朝日ホールで進化を聴く子どもの頃には聞こえなかったものがいまはよく聞こえてくる2021年にワルシャワで開催されたショパン国際ピアノコンクールの最年少ファイナリスト、エヴァ・ゲヴォルギヤンは、モスクワ音楽院に在籍しながら、スペインのソフィア王妃高等音楽院ではスタニスラフ・ユデニチのもとで研鑽を積んでいる。昨年に初来日。浜離宮朝日ホールでのリサイタルは、彼女の東京デビューとなった。「いらしてくださったたくさんのお客さまのために演奏するのは、とても大きな喜びでした。浜離宮朝日ホールは素晴らしい音響、そして当日持ち込んで演奏したヤマハCFXは聴衆にストレートに届くような素晴らしいピアノでした」(エヴァ・ゲヴォルギヤン、以下同)今年8月の再来日も決まり、ベートーヴェン、ブラー22023年浜離宮朝日ホールでの日本デビュー・リサイタルムス、ラヴェル、そしてショパンの作品によるリサイタルが行なわれる。ショパンの数あるピアノ曲の中から、彼女は「24の前奏曲」を選曲した。「私はずっとショパンを弾き続け、とくに17歳でショパン・コンクールに参加するために膨大な彼の作品を弾き込みました。その後、ショパンを演奏しない時期もありました。そこからもう一度、彼の音楽に挑むときに、大きい作品に取り組みたいと考えました。子どもの頃には全然聞こえなかったものが、いまはよく聞こえてくるのです。特にニ短調の曲(第24番)はとても深く、そういう意味では、この年齢になってから挑戦したのはよかったと思っています。難しいのは、24曲を大きなひとつの物語として構築するところです」この曲集の多くは、スペインのマヨルカ島で書かれたと伝えられている。