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浜離宮ランチタイムコンサートvol.253きりく・ハンドベルアンサンブルハンドベルの奥深い世界に触れる毎年クリスマス・シーズンに浜離宮朝日ホールでコンサートを開催しているきりく・ハンドベルアンサンブルが、8月の浜離宮ランチタイムコンサートに登場!ショパンやガーシュウィン、ピアソラ、映画音楽まで、多彩で親しみやすいプログラムをお届けする。ハンドベル演奏の第一人者であり、アンサンブルを主宰する大坪泰子に話を聞いた。「ハンドベルは演奏する場所によって響きが大きく変わる楽器ですので、その魅力を最大限に引き出すことができる浜離宮朝日ホールで長年コンサートをしてきました。今回は夏の公演ということで、クリスマスのイメージにとらわれず、自由度の高いプログラムでハンドベルのさまざまな表情をお楽しみいただけると思います」ひとつのベルがひとつの音を奏でるハンドベルのアンサンブルでは、ずらりと並んだベルを、メンバーが目にも止まらぬ速さで持ち替えながら演奏する姿にまず目を引かれる。だが、大変なのは決して目に見える部分だけではない。「まずは演奏する曲をハンドベル用に編曲する作業があります。楽譜にある音を、それぞれのベルとそれを演奏するメンバーに振り分けていく作業はパズルのよう。実際にベルを並べて演奏してみたらうまくいかない場合もあるので、本番の直前まで入れ替えては書き直しての繰り返し。今回は曲により6〜9人で演奏しますが、人数やメンバーによって割り振りは違ってきますので、コンサー©STUDIOKUMUトのたびに一から作っています」身体全体を使って演奏するダイナミックな動きにも理由がある。「あれは余韻をコントロールするための動きです。基本的にベルは音が鳴ったら減衰していくしかない楽器ですが、減衰の速さを遅らせたり、響きを膨らませたりすることはできるんです。ハンドベル演奏において、私がいちばん大切にしていることは、音をつなぐこと。ひとりの脳が全部の指を支配するピアノと違って、ハンドベルはたくさんの脳でひとつのフレーズを奏でるわけですよね。メロディをひとりで歌っているように聞こえるためには、余韻をコントロールして音をつないでいく技術が必要です。何年もかかって身体でおぼえていく技術ですね」緻密な準備とたゆまぬ研鑽に思いを馳せつつ、真夏の昼、涼やかに響くハンドベルの響きに浸りたい。取材・文/原典子(音楽ジャーナリスト)浜離宮ランチタイムコンサートvol.253きりく・ハンドベルアンサンブル8/22(金)11:30¥3,000※ランチタイム(7〜9月)3公演セット券は完売成田為三:浜辺の歌カスキ:夜の海辺にてショパン:雨だれガーシュウィン:サマータイムモンティ:チャールダーシュピアソラ:鮫ロータ:愛のテーマモリコーネ:ニュー・シネマ・パラダイス久石譲:ある夏の日ケンプフェルト:L-O-V-E5