浜離宮朝日ホール|朝日ホール通信

1992年オープンの室内楽専用ホール。特にピアノや繊細なアンサンブルの音色を際立たせる設計でその響きは世界でも最高の評価を受けています。


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第1回目の浜離宮ランチタイムコンサート(2004年1月21日)のチラシくわかり、ひたむきさが伝わってきます」20年前と同じプログラムを、同じピアノで演奏するコンサートということで、自分にとっても新たな発見があるかもしれないと江口は語る。「この20年の間に、このピアノともずいぶん仲を深めてきました。コンサートというものは、自分と楽器、そして楽器を調律してくださる調律師との3者のバランスが整ってはじめて成立するものだということを実感しています。20年前とは違う新しい発想がきっと出てくると思うので、どうぞお楽しみに」取材・文/原典子(音楽ライター/編集者)1887年製ニューヨーク・スタインウェイと域でバスを鳴らし、真ん中の音域で内声を弾くような曲が、もっとも効果的に聞こえるということ。このピアノは1887年製ですから、ショパンの後の時代から1950年頃までの100年ぐらいの間に書かれた曲というのが、とてもよく合うのかなと思います。プログラムにあるヨーゼフ・ホフマン(1876-1957)やシューラ・チェルカスキー(1909-1995)の曲がこの時代に当てはまりますが、作曲家たちはこういったピアノの特性を考えて作曲していたことが、よくわかりますね。私にとっては本当に多くのことに気づかせてくれた特別なピアノです」◆20年前と同じピアノ、同じプログラムで今回の完全再現コンサートでは、20年前と同じスタインウェイによって、当時とまったく同じプログラムが演奏される。バッハ、リスト、そして後半は「マズルカ」をはじめショパンをたっぷりと。「このピアノに出会ったことで、作曲家と楽器の関係についてより深く考えるようになりました。そうすると、バッハをこのピアノで弾いたらどんなふうに響くだろう?リストだったら?ショパンだったら?といろいろ興味が湧いてきて。たとえば、このピアノが作られた時代の作曲家、ブゾーニはバッハ作品の校訂や編曲を数多く残していますが、100年前の人々にとってバッハはどのように聞こえていたのかということも、このピアノで弾くことでわかるかなと。リストの『ペトラルカのソネット』第104番はホロヴィッツが得意だった曲なので、ホロヴィッツが気に入っていたピアノでこの曲を弾いたらどんな感じかな、とか。自分の探究心の赴くままに組んだプログラムです(笑)」ホフマンとチェルカスキーの作品は、はじめて聴くという方も多いかもしれない。「ホフマンはポーランド出身、アメリカに亡命して、ピアニストや教育者として素晴らしい功績を残しましたが、作曲家としてはあまり知られていないように思います。多くの小品を残していますが、いずれもショパンから続く伝統の末裔であることを感じさせる曲ばかり。ショパンもホフマンも、ポーランド語のリズムが根底に流れているんですよね。これは20年前には気づかなかったことです。チェルカスキーはオデーサに生まれ、ロシア革命の勃発により家族とともにアメリカに亡命、17歳でカーネギーホールにデビューした天才ピアニスト。この『悲愴前奏曲』は10代前半に作曲されたようですが、不安定な政情のなかで、少年が自分の感情のままに音を書き連ねたことがよまつえい2024.1/17(水)11:301回券¥3,000ランチタイム(1〜3月)3公演セット券¥8,000J.S.バッハ:「平均律クラヴィーア曲集」第1巻より第1番「プレリュードとフーガハ長調」ホフマン:夜想曲チェルカスキー:悲愴前奏曲リスト:「巡礼の年」第2年「イタリア」より「ペトラルカのソネット」第104番、第123番、ラ・カンパネラショパン:マズルカ(作品番号なし・変ロ長調[1825]、Op.7-3、Op.17-4、Op.30-3、Op.56-2、Op.63-3、Op.68-4)スケルツォ第3番、ワルツOp.69-1、エチュードOp.10-3「別れの曲」3


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