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年9月にも本作で共演しており、また、向山は2012年に「偉大な芸術家」を録音(日本アコースティックレコーズNARD-5040)、哀感を帯びた冒頭部分からさっそく気品に満ちた美しい音色を聴かせてくれていた。作品を熟知した3人のヴェテランの競演に期待が高まる。2つ目は、2月21日の「浜離宮ランチタイムコンサートvol.247」。平日お昼に開催される人気シリーズにトリオ・アコード(白井圭、門脇大樹、津田裕也)が再登場し、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第2番をメインに据えた独墺プログラムを披露する。メンデルスゾーンの三重奏曲といえば、トリオ・アコードが前回登場時(2021年10月)に取り上げた第1番が根強い人気を誇っているが、第2番も熱気と気品とが絶妙にブレンドされた同ジャンル屈指の名曲。とくに、作曲家が敬愛していたJ.S.バッハのカンタータ第130番と同じコラール主題を扱って壮麗なクライマックスをかたちづくる第4楽章は圧巻だ。2003年、東京藝術大学在学中に結成された同級生トリオならではの緻密なアンサンブルにじっくりと耳を傾けたい。木嶋真優©KINYAOTA(MILD)辻本玲©KINGRECORDS沼沢淑音清水和音×松田理奈×向山佳絵子(ピアノ)~偉大な芸術家の思い出に~(ヴァイオリン)(チェロ)2025.1/26(日)15:00一般¥6,600U30¥2,000トリオ・アコード©T.Tairadate最後にもう1つ。2023年9月に初開催されて好評を博した「室内楽フェスティバルAGIO」が2024年も開催される運びとなった。今回は12月13日から15日にかけて全6公演が予定されており、14日のマチネでは木嶋真優、辻本玲、沼沢淑音が奏でるショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番を聴くことができる。本作は「偉大な芸術家」と同様の追悼音楽で、作曲家にマーラーの音楽を探求するきっかけをもたらした友人ソレルチンスキーに捧げられた作品。「ユダヤの旋律」が強烈に鳴り響く終楽章をはじめ、随所で火花の飛び散るような丁々発止を楽しめそうだ。冬の寒さを忘れるような熱演に触れられる日が、今から待ち遠しい。文/本田裕暉(音楽評論)シューベルト:ピアノ三重奏曲第1番チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」浜離宮ランチタイムコンサートvol.247トリオ・アコード(ピアノ三重奏)2025.2/21(金)11:301回券¥3,000ランチタイム(1~3月)3公演セット券¥8,000出演:白井圭(ヴァイオリン)、門脇大樹(チェロ)、津田裕也(ピアノ)ハイドン:ピアノ三重奏曲第27番モーツァルト:ピアノ三重奏曲第3番メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第2番宮田大&横溝耕一が贈る室内楽フェスティバルAGIOvol.2<ピアノ三重奏&ピアノ四重奏>2024.12/14(土)14:00¥7,500出演:木嶋真優(ヴァイオリン)、横溝耕一(ヴィオラ)、辻本玲(チェロ)、沼沢淑音(ピアノ)マーラー:ピアノ四重奏曲イ短調ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番[木嶋、辻本、沼沢]ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番3