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11月に登場するハオチェン・チャンは中国、2026年1月のシモン・ネーリングはポーランド、2月のアンナ・ヴィニツカヤはロシア、エリック・ルーはアメリカ出身。それぞれ国際コンクールで優勝し、一流オーケストラとの共演やワールドツアーを重ねるなかでキャリアを積み重ねてきたピアニストたちである。彼らの演奏にまっすぐ向き合い、音楽の核に触れることができるのも、浜離宮朝日ホールという親密な空間ならではだ。©AnnaSkzlenerエリック・ルーワールドクラスの名手を間近に聴く贅沢「親密な空間」と書いたが、全552席の浜離宮朝日ホールで、日頃は2,000人規模の大ホールを満席にしているワールドクラスの名手を聴くのもじつに贅沢な経験である。7月にはエマニュエル・パユ(フルート)がベルリン・フィルの仲間たちと、10月にはスティーヴン・イッサーリス(チェロ)が堤剛、横坂源、上野通明とのチェロ・アンサンブルで共演する。同じく10月にはイギリスが世界に誇るドーリック弦楽四重奏団、11月には現代のギター界を代表するデイヴィッド・ラッセルや、絶大な人気を誇るヴァイオリニスト、ジャニーヌ・ヤンセンが登場。プレミアムなひとときとなるに違いない。©VictorMarin©HisaoSuzuki©SotaroGoto©TAKAMAYUMI金川真弓郷古廉横坂源北村朋幹©MarcoBorggreve佐藤俊介&スーアン・チャイ©MasatoshiYamashiro石上真由子©HiroIsakaエマニュエル・パユデイヴィッド・ラッセル©KirkTrumanドーリック弦楽四重奏団©HaraldHoffmann-Deccaジャニーヌ・ヤンセン旬の弦楽器奏者たちが集結卓越した弦楽器奏者の公演にも注目したい。9月には金川真弓の無伴奏ヴァイオリン・リサイタルや、郷古廉(ヴァイオリン)&横坂源(チェロ)&北村朋幹(ピアノ)によるトリオを。10月には佐藤俊介(ヴァイオリン)&スーアン・チャイ(フォルテピアノ)がベートーヴェン・ツィクルスを3公演にわたって開催する。そして11月には3回目となる「宮田大&横溝耕一が贈る室内楽フェスティバルAGIO」。2026年2月には日本のヴァイオリン界の宝ともいうべき前橋汀子、3月には意欲的な自主企画でも注目を集める石上真由子がリサイタルを行なう。今をときめく日本の弦楽器奏者たちが集まる場所としても、浜離宮朝日ホールはその存在感を高めている。文/原典子(音楽ジャーナリスト)5