浜離宮朝日ホール|朝日ホール通信

1992年オープンの室内楽専用ホール。特にピアノや繊細なアンサンブルの音色を際立たせる設計でその響きは世界でも最高の評価を受けています。


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横溝「連日クラシックばかりでは疲れてしまうので、大好きな映画音楽でプログラムを組みました。昔の名画の音楽って、作曲家が自身の内面から生み出したメロディがしっかりあって、もはや映画音楽を超えてクラシック音楽として残っているような名曲がたくさんありますよね。そういった音楽を、山中さんのオリジナリティあふれるアレンジでお聴きいただければと思います」これまで培ってきたAGIOの共通言語2日目は「ブラームスのピアノ五重奏」と「シューベルトのピアノ五重奏」の2公演をしっかり味わいたい。横溝「ドヴォルザークやシューマンのピアノ五重奏は、臨時編成のメンバーによるアンサンブルでもわりとうまくいくのですが、ブラームスのピアノ五重奏は常設のカルテット+ピアノのようなスタイルで演奏するイメージがあって、やはり音楽的な共通言語を持ち合わせていないと難しいように思います。その点、今回は常設のアンサンブルではありませんが、やはり3年間のなかで培われてきたAGIOの共通言語は確実にあるので、それをもってブラームスに取り組めるのはいいタイミングではないかと。いっぽう、シューベルトのピアノ五重奏は、コントラバスが入った珍しい編成ですが、こちらは常設のアンサンブルというよりも、ソリスト同士が集まって演奏するような作品でしょうね」宮田「AGIO初参加となるピアニストの阪田知樹さんとご一緒できるのも楽しみですね。彼は理知的にアプローチしてくる部分と感情に訴えかけてくる部分の両面を兼ね備えた人なのですが、感情的な表現の背景にもしっかり意図や理由があるところが素晴らしいと思います。誰とでもすぐに友だちになってしまうようなパーソナリティも魅力的ですし」3日目の午前は0歳から入れる「ファミリーコンサート」。昨年と同じサン=サーンスの「動物の謝肉祭」だが、メンバーはがらりと変わる。横溝「子ども向けのコンサートでは、アーティストが同じ方向を向いて、同じ温度感で向き合ってくれることがとくに大事だと思います。はじめて生の楽器の音を耳にするかもしれないという子どもたちに、無意識下でもどういった印象を植えつけられるかと考えたら、やっぱり適当なことはできないわけで。楽器の配置やバランスなど、みんなで真剣に話し合いながら、今年も時間をかけて作っていきたいです」そしてフィナーレはチェリスト5人による「魅惑のチェロ・アンサンブル」。宮田「数あるチェロ協奏曲のなかでも私的にはベストに入るサン=サーンスのチェロ協奏曲第1番を演奏します。オーケストラと演奏していても室内楽的な作品だなと感じますが、音楽での対話がとても大切な作品。今回はチェロ五重奏だからこその親密なアンサンブルと、分厚く濃厚な響きでフェスティバルを締めくくりたいと思います」このフェスティバルでなければ聴けない顔合わせのプログラムばかり。貴重な機会をお聴き逃しなく。©K.Miura取材・文/原典子(音楽ジャーナリスト)宮田大&横溝耕一が贈る室内楽フェスティバルAGIOvol.311/22(土)・23(日・祝)・24(月・休)各1回券¥7,500ファミリーコンサート¥1,500◆22日(土)14:00弦楽八重奏出演:荒井里桜、辻彩奈、松田理奈、南紫音(ヴァイオリン)鈴木康浩、横溝耕一(ヴィオラ)、辻本玲、宮田大(チェロ)モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲K.364(室内楽版)メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲◆22日(土)18:30映画音楽出演:横溝耕一(ヴァイオリン)、宮田大(チェロ)、山中惇史(ピアノ)モリコーネ(山中惇史編):Morricone'sCinemaMedleyジョン・ウィリアムズ(山中惇史編):JohnWilliamsFantasyTripほか◆23日(日・祝)14:00ブラームスのピアノ五重奏出演:荒井里桜、辻彩奈(ヴァイオリン)、横溝耕一(ヴィオラ)宮田大(チェロ)、阪田知樹(ピアノ)ブラームス:ピアノ五重奏曲ほか◆23日(日・祝)18:30シューベルトのピアノ五重奏出演:荒井里桜(ヴァイオリン)、横溝耕一(ヴィオラ)宮田大(チェロ)、幣隆太朗(コントラバス)、阪田知樹(ピアノ)シューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」ほか◆24日(月・休)11:00ファミリーコンサート出演:小林美樹、辻彩奈(ヴァイオリン)、横溝耕一(ヴィオラ)宮田大(チェロ)、幣隆太朗(コントラバス)高木綾子(フルート)、コハーン・イシュトヴァーン(クラリネット)五十嵐薫子、高橋優介(ピアノ)黒田英実(パーカッション)、片桐実咲(朗読)サン=サーンス:動物の謝肉祭※0歳から入場可。3歳未満は保護者1名につき子ども1名まで膝上鑑賞可(チケット不要)。3歳以上は要チケット。大人・子ども同一料金。◆24日(月・休)15:00魅惑のチェロ・アンサンブル出演:宮田大、辻本玲、佐藤晴真、水野優也、清水陽介(チェロ)サン=サーンス(小林幸太郎編):チェロ協奏曲第1番ピアソラ(小林幸太郎編):リベルタンゴほか問Bunkamura03-3477-32443


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